外国為替とサブプライムローン

最近、くりっく365為替も株式市場もサブプライムローンという言葉が飛び交っています。そこで、今回、このサブプライム問題と今後の市場の見通しについて書いてみたいと思います。まず。7月26日に、ニューヨークの株式市場が大幅に下落しました。流れ的には、今回流行りの言葉になった、サブプライムローン(信用力の低い個人向けの住宅ローン)問題で株式市場から投資資金が引き上げられるとの懸念が高まったことが背景にあります。そして、この懸念をを受けた7月27日の東京株式市場は、日経225平均株価が、どんどん下がり、結局、前日の終値に比べ418円安で今年4番目の下げ幅となりました。さらに、その動きは止まらず、この株安の動きは、欧州やアジアの市場にも波及し、2月末の中国・上海発、3月の米国発に続く、世界同時株安となりました。この記憶は、まだ新しいものだと思います。たいてい、投資活動においては、常に史上最高値には注意が必要だと言われています。その理由はなぜかというと、このような動きは過剰流動性で高値がつくだけであって、何か理由があれば必ず落ちてくるからです。そして、今回の場合には、もちろん、先日のバーナンキFRB議長の演説も影響していると思いますが、それよりも何よりサブプライムローン問題が引き金になっています。これの動きのパターンは、90年代初めのS&L問題と基本的には同じ構造です。実は、日本では邦銀のサブプライム関連投融資の残高が1兆円(米UBS証券推計)だと大変大きな金額かのように騒がれてはいます。しかし、サブプライムローン全体では、約170兆円(米・ベアスターンズ推計:1兆4500億ドル)にのぼることを考えると、日本の傷など大したことはないと感じます。日本と比べて、欧州、米国の消費者金融機関が受けるダメージは比較にならないでしょう。しかも、今後はさらに厳しい状況が待ち構えていると私は見ています。なぜなら、米抵当銀行協会(Mortgage Bankers Association)の発表によれば2007年1-3月期の米サブプライムローンの延滞率が13.77%と2005年以降上昇傾向であるからです。このような状況にプラスして、さらに米国の場合、90日以上滞納すると債務不履行と見なし、住宅を取り上げて競売にかけます。その結果、競売で投売りされる住宅が増加すれば住宅価格が下落し、担保価値も目減りします。また、2004年以降に実行されたサブプライムローンでは、当初の返済軽減期間が終了し負担急増に直面するものが、なお相当に残っていると見られるため、今後さらに延滞や債務不履行が増加することになると思います。このような状況で、バーナンキFRB議長は「シリアスだけど克服できない問題ではない」と言っていますが、同考えても、この状況では、私には理解できません。そもそも、サブプライムローンが引き起こした構造的な問題はどこにあるのか?そして、このような状況になるとファンドが集める予定の資金が集まらないという事態になっていきます。そうすると、次に考えるべき視点は何か。それは、そのような状況で、市場から引き上げた莫大な資金は、どこに流れていくのか? という点が非常に重要だと私は見ています。その際、過去の歴史が非常に参考になります。過去の歴史を見る限り、その資金の流れを考える際に押さえおくべきポイントは、「人はパニックになったときには論理的な行動を取らない」ということです。この視点をもっているかが、投資活動の際には、非常に重要になります。例えば、ロシア危機でLTCM(ロングタームキャピタルマネジメント)が破綻したとき、論理的に判断するなら、まずREITなどの住宅関連へ流れ、それでもいよいよダメだとなって初めて米国債へと向かうべきでした。しかし、実際には、いきなり米国債へと資金が流れたのです。論理的な判断と行動を取るのではなく、誰かが叫んだ声を信じて、そこへ流れていくというわけです。それでは、今回のサブプライム問題を懸念して引き上げられた資金に対して、この「叫び声」をあげたのは一体誰か。それは、ウォールストリートの人たちです。ちょうど、2007年7月30日号のBusinessWeekに、「Death Bond(死亡債/生命保険債)」というタイトルの記事が掲載されましたが、この仕組みは、まさに今回のように行き場を失った資金を流していくための叫び声となるものだと私は思います。これは、自分の生命保険を買い取ってもらえるサービスです。例えば、1億円の生命保険に入っている人がいたとして、70歳なら2割、75歳なら4割でその生命保険を買い取るというサービスです。この仕組みで数千人〜数万人規模で集めて、さらにABS(Asset Backed Securities:資産担保証券)にします。それがファンドに組み込まれるという形になっていくという構造です。ファンドには本当にいろんな形があります。特徴的なことは、生命保険という商品を扱っているため、根本的に株やコモディティの波長と異なるという点です。この理解も大事だと思います。つまり、世界同時株安で株やコモディティが全面的に下落しても、被保険者が死亡するわけではないので、この商品はほとんど影響がないと思います。この点において、ファンドからのニーズが高くなっているのでしょう。ただ、私はこのレーシック手法は非常に危険だと感じています。なぜなら、まさに今問題になっているサブプライムローン問題も全く同じ構造を持っているからです。結局、個人の人たちが借りているうちは、リスクも明確で安全であったものを、それらをまとめてABS化し、ファンドに組み込んだことで、最終的におかしな事態を招いたのだと私は思います。今後、米国はサブプライムローン問題を切っ掛けに金利を上げるにも上げられず、金利を下げようにも、ユーロへの資金移動のために下げられないといった事態になり、結局、パニックに陥ってしまうのではないかと危惧しています。