サブプライム問題vs外国為替

そもそもサブプライム問題とは何かについて書いていなかったので、改めて解説してみる。そもそも、サブプライムローンとは、いわゆる優遇金利(これがプライムと呼ばれている部分です)の適用先よりも信用力の低い貸し付けのことです。それほど信用力がない方へのローンです。つまり、一般的に言い換えると、低所得者層や延滞などがある信用力の低い消費者に住宅購入資金を貸すローンのことです。それでは、優遇金利の適用先と比較して、このサブプライムローンは、一体どこが違うのかということですが、やはり、審査基準を甘く設定している代わりに、金利は高くなります。歴史的にどのような展開があったのかというと、90年代後半からの住宅市場の活況化に伴って、各金融機関が貸出条件を緩和したローンを始め、問題含みの借り手からも借入需要を喚起してきたことで大きく広まりましたえ。まあ、日本のバブル時代に、必要がない経営者や中小企業にとにかく、銀行はお金を低い審査基準のもと、ヘッドハンティングをしていた状況と似ていると思います。それでは、全体の住宅ローン全市場における、このようなサブプライムローンのシェアはどれ程でしょう。調べて見ると、米国の住宅ローン市場は約10兆ドル(およそ1200 兆円)であり、そのうちサブプライムローンのシェアを調べてみると、約13%です。さらにローンの構成を見ると優遇金利を指すプライムローンが全体の約77%とほぼ大半を占め、政府機関ローン(FHA ローン)、退役軍人ローン(VA ローン)が合わせて約10%、サブプライムローンが13%になります。結局、これは何を意味しているのでしょうか。ここで認識すべきは、2つまります。一つ目として、まず昨今注目されるサブプライムローンは住宅ローン市場全体の約13%であることです。そして、住宅ローン市場の77%は正常貸出先を対象としたプライムローンであるということです。では、その事情を踏まえて、今度は、サブプライムローンとプライムローンの延滞率(焦げ付き率)を見てみましょう。まず、プライムローンをみてみましょう。過去10年を見て安定的に2〜3%付近を推移しており、延滞率に特段の不安材料はありません。それでは次に、サブプライムローンを見てみましょう。今度は、プライムローンに比べて延滞率10%超と高い水準にありますが、もともとの与信基準が低い対象であることと貸出金利自体も高く設定されていることを考えると当然です。(※つまり、貸し出し審査条件がプライムローンと大きく乖離していないとむしろおかしいわけです。) 昨今の「サブプライムローン問題」とは、2005年以降の延滞率が上昇傾向にあり、それが原因となって、サブプライムローンを専門に扱っているローン会社が資金繰り難から実質破綻に追い込まれたり、米国で積極展開していた英金融機関が巨額の引当金を積んだことなどに端を発します。そして、我々先物取引投資家にとってはこれが長期的な「安・ドル安・投資マネー収縮」につながるかが否かが、極めて重要な論点になります。まず、サブプライムローン延滞率が悪化した過去のケースを見てみたいと思います。時期的に調べると、2000年〜2002年が、サブプライムローン延滞率が悪化した時期です。具体的には約5%の悪化でした。それでは、この時のドル円の推移を調べます。そうすると、この時期のドル円は、何と、ドル安円高ではなくて、むしろ逆のドル高円安の動きになっています。これが歴史の真相です。それでは、過去の歴史のデータから、今後の動きのポイントとして、どのような動きが考えられるでしょうか。そうすると、今、かなり、このサブプライムローン問題は話題にはなってますが、もし、過去の歴史を参考にすることが可能であるならば、(もちろん、全く参考にならない事態になる可能性も否定は出来ませんが)サブプライムローン問題によるドル安円高圧力はおそらく限定的な動きになるのではないかと考えられます。理由は以下の通りです。1.サブプライムの返済延滞率は2005年後半以降上昇基調にあるものの、住宅ローン市場の77%を占めるプライムローン(相対的に信用度の高い借り手への融資)の延滞率は安定的にで推移しており、通常の借り手については全く深刻化していないと思われるから。2.さらに、米国におけるサブプライム層が占める人口割合は2割程度といわれており、また、アメリカの国民所得全体に占める同層の割合はそれ程高くないことを考えると、むしろ米景気を見通す場合に重要な指標としては、それよりも、高所得者層の消費動向の方が圧倒的に重要性は高いと考えられるため。(具体的には、所得上位20%の層が国民の総所得に占める割合は増え続け2005年には50%を超えました。一方で下位40%の人の人が占める割合は、減り続け12%付近まで落ち込んでいます。実態としては、アメリカは日本よりはるかに物凄い格差社会なのです。)以上の理由を考えると、サブプライムローン問題を契機としたドル円の動きは限定的でないかと予想できます。もちろん、今後、短期的にはサブプライムローン問題の深刻化が各南アフリカランド相場の主要テーマに挙げられることでドル売りリスクはあります。しかし、長期的に見るとサブプライムローン問題によるドル安円高圧力は限定的だと考えています。今回はこのような結論を出しましたが、実際は神のみぞ知るといわれればそれまでです。そもそも相場の主要テーマというのは極めて人為的でメディア主導型のものだからです。そして、毎回のことですが、メディアの偏った報道は、現状と乖離したイメージを受け手に与えがちです。